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【2005.02.18】

愛着のもてる賃貸マンションをつくろう

 学生のころ住んでいたのは、安さを重視して選んだ1K風呂なしの木賃アパートでした。その後、社会に出てからも風呂付にはなったものの、相変わらず安い木賃アパート暮らし。遅くまで飲み歩いて、部屋には寝に帰るだけ、という生活なら、これで何の不都合も感じていませんでした。

 ところが結婚して引っ越した2K風呂付のアパートでは困ったことに。夜遅く帰って歩き回る足音がうるさいと、階下の住人から抗議が来たのです。その後は、いつも忍者のような抜き足差し足の生活を余儀なくされました。こればかりが理由ではありませんが、結局このアパートは1年足らずで引き払い、分譲マンションに住み替えることになりました。今思うと、当時は、質の高い賃貸マンションはほとんど存在せず、アパートか分譲マンションかという選択にならざるを得なかったようです。あのとき、住みたくなるような質の高い賃貸マンションがあったら、もしかしたら人生変わっていたかも、とちょっと考えてしまいます。

 現在、各地でマンション開発が花盛りですが、「投資家やファンドに1棟売りする」というケースもふえています。買うのは入居者ではないわけですから、つまりは賃貸マンションになるわけです。ワンルームマンション投資は、寝に帰るだけの学生や若い社会人の賃貸需要の受け皿になっていますが、1棟投資する賃貸マンションでは、それだけの需要ではやはり心もとないというのが、投資家やファンドの本音ではないでしょうか。社会にでてある程度自分の生活が確立してきた、あるいは結婚したばかりでまだ子供がいない、または、リタイアしたのだけれど少し余裕があるので都心のマンション暮らしをしてみたい、といったニーズの受け皿足るべき賃貸マンションを望んでいるはずです。

 こうした動きを受け、これまであまり賃貸マンション開発に積極的でなかった大手不動産会社も本腰を入れはじめました。デザインマンションなど高い収益力に実績をもつ会社への関心も高まっています。「月刊プロパティマネジメント」3月号では、収益を生むデザインとして、これら注目企業の最新物件を多数の写真を使って紹介しています。ところで、取材していて気が付いたのは、各社とも入居者の要望をいかに取り入れるかに腐心していること。ただ、逆に言うと、これまでは入居者の声など聞かないでつくってきたの、ということですが。

 なかでも印象深かったのは、コーポラティブハウスに実績をもつ都市デザインシステムさんから聞いた一言。「コーポラティブハウスでは、実にさまざまな要望を寄せられますが、現場の立場から言うと、それを実現できることはほとんどありません。ただ、だからこそひとつでも自分の気に入ったものをつくれたら、その建物に愛着をもってもらえるのです」。愛着のもてる賃貸マンションがつくれたら、利回りもきっと安定するのだろうな(夢のない話ですみません)。

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