綜合ユニコム|編集長だより [ホームへ戻る]




【2004.12.27】

2004年を3つのキーワードで振り返る

 今年も残すところあと1週間を切りました。皆様におかれましては、2004年はどのような1年であったでしょうか。

 レジャー産業界のこの1年を振り返るときに、浮かび上がってくるのは、「安・本・楽」と「再生」、そして「コンプライアンス」の三つのキーワードでしょうか。



 バブル崩壊後のレジャーに対するユーザーニーズは、「安く」「近くで」「短く」、つまり「安・近・短」で表現されてきたのは周知のとおりです。デフレの進展とともに、都市部やその近場で手軽に遊ぶ動きが顕著で、こうしたニーズを吸収した事業が伸張してきたのがここ数年の流れでした。そうしたなかで、04年は「安いのは当たり前」で、さらに「本」つまり「本物」を「楽しむ」動きが目立ちました。たとえば温泉表示の偽装問題以降、本物の温泉かけ流しへのニーズが高まったのもその動きの一つでしょう。また、フードテーマパークに代表されるように、都心で手軽に全国各地の名店による「本物の味」が千円札1枚で楽しめる、そんな施設に人が集まった1年でした。

 もう一つ、破綻施設の再生の動きが今年も顕著でした。不良債権処理の動きに伴い、負の遺産を背負った大型施設が、資金力と経営力をもつ外資系投資会社や経営ノウハウの豊富なレジャー企業、異業種などの手で、新たな道を歩み始める姿も当たり前のようになりました。さらに、05年は減損会計の導入に伴い、不良資産の売却に一層の拍車がかかるものとみられ、売却・買収を軸とした動きはめまぐるしさを増すことになるでしょう。

 そして触れなくてはならないのは、企業の法令遵守、コンプライアンスの問題です。大手自動車メーカーをはじめ、法令に背を向け、消費者をないがしろにする企業姿勢が随所で指弾されマスコミをにぎわした1年であったと思います。従来は見逃されてきた長年の企業慣習であっても、新たな光を当てられることで顕在化し、問題化するケースは今後もふえてきそうです。

 レジャー業界においても、わが国のリゾート事業を牽引してきたプリンスグループを擁する(株)コクドをめぐる問題とその追及の動きは象徴的でした。この行方はまだ不明ですが、今後、ひょっとするとその余波は日本のリゾート地図を塗り替える可能性さえ孕みます。もとより同社1社の問題ではなく、企業トップなど個人あるいは法人を問わず、その体質に隠された暗部に対してどれだけ自浄作用をもちうる組織であるか、企業統治のレベルも含め、経営の透明性の有無がユーザーの支持を左右する大きなポイントになってくる――流行りの企業ブランディング云々以前に、こんな当たり前のことを見直すきっかけとしたいものです。

 とまあ、いろいろあった1年ですが、皆様におかれましてはご愛顧ありがとうございました。また来年も弊誌『月刊レジャー産業資料』では、スタッフ一同、時代の風を捉え皆様のお役に立つ情報を発信していく所存です。変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。

(坂本義朗/月刊レジャー産業資料

■編集長だより
月刊レジャー産業資料
月刊プロパティマネジメント
月刊シニアビジネスマーケット
月刊フューネラルビジネス

季刊E+ビジネス
季刊レジャーホテル
季刊カラオケビジネス
アクアウエルネス

Copyright 2004 SOGO UNICOM Co.,ltd. All rights reserved.


[ホームへ戻る] お問合せ:03-3563-0025 E-mail:info@sogo-uni.com