綜合ユニコム|編集長だより [ホームへ戻る]




【2004.11.19】

バリューアップにおける耐震・免震構造

 不動産投資のポートフォリオを考えるとき、リスク分散としての地勢リスクが検討されます。つまり、ひとつの地域に物件が集中しているとリスクも集中してしまうということです。広大なアメリカの場合は、都市ごとに経済基盤も異なるため、ある都市は不況でオフィスなどの賃料が減少傾向でも、別の都市は好況で賃料アップが期待できる、といった経済面のリスク分散も図れるようです。しかし、日本の場合は都市間で大きく景況が異なるといったことは考えづらく、やはり自然災害、なかでも地震のリスクが強く意識されているようです。このたびの新潟県中越地震は、改めて地震が地域や不動産に与える影響の大きさを認識されました。

 私事になりますが、新潟に両親がおり、震源地から離れているとはいえ揺れで不安な日々を過ごしているようです。当社員の親族にも直接、被害に合われた方もおり一日も早い復興を祈らずにいられません。新幹線の復旧がいつになるかで、私も含め帰省客やスキー客への影響も懸念されます。

 それに触発されてと言うわけでもないのですが、『M8』(高嶋哲夫著・集英社)という本を手に取りました。東京にマグニチュード8の直下型地震が起こるという、いわゆるシミュレーション小説です。地震のときの対応や家族の連絡をどうするか、などしっかり決めておかなければと自戒させられました。ところで本書のなかで興味深かったのは、本書の記述のなかで中小以下のビルや戸建て住戸の倒壊が目立つ一方、新宿をはじめとする高層ビル群や新しいマンションは大きな被害がなかったということです。都庁の建物も免震構造で、「M8の揺れがM5に感じる」というシーンもありました。

 これをみるまでもなく、不動産投資においては、耐震・免震構造かどうかが重要な判断となります。特に日本の場合、東京のマーケットの規模・質が群を抜いているだけに、投資物件は東京に集中せざるをえません。地震リスクへの配慮はあってもなかなか地域分散というわけにはいきませんから、どうしても耐震・免震への対応が重視されることになります。

 建物のバリューアップ戦略においても、耐震・免震は重要な視点です。躯体に抜本的な手を入れることは、工事費の高騰につながり収益を大きく損なうという考え方もあります。もちろん、これも重要で安価な手当てで大幅な収益改善を図ることは、特に資金の薄いオーナーにとっては大きなメリットとなります。しかし、多数の資金を預かるファンドや機関投資家は、耐震・免震をバリューアップの最低条件と捉えるところが多いのではないでしょうか。不動産投資の視点から老朽建物が耐震・免震に改築されるというケースも増えてくるように思います。

■編集長だより
月刊レジャー産業資料
月刊プロパティマネジメント
月刊シニアビジネスマーケット
月刊フューネラルビジネス

季刊E+ビジネス
季刊レジャーホテル
季刊カラオケビジネス
アクアウエルネス

Copyright 2004 SOGO UNICOM Co.,ltd. All rights reserved.


[ホームへ戻る] お問合せ:03-3563-0025 E-mail:info@sogo-uni.com