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【2004.10.22】

子育て支援と介護予防

 ニューヨークで暮らす私の従兄弟は、大学卒業後20年以上にわたって「フリーター」です。旅行ガイドのアルバイトなどで気楽な生活を楽しみながら、秋頃に集中するオフブロードウェイの舞台オーディションに備えます。彼はどんなに忙しくても、半年に1度は必ず日本に帰国します。

 それは年老いた父親の身の回りの世話をするためです。なぜなら、普段はひとりで何でもこなせる彼の父親も、衣服の衣替えや、寒い季節にしか使用しない布団、暖房器具などの出し入れだけは、どうしようもないためです。つまり従兄弟は半年に1度、父親専用のホームヘルパーに変身するのです。

 一方、幼い子供を育てる私たち夫婦も、ホームヘルプサービスを求めています。私は私で仕事と家庭のバランスを楽しみながら一生懸命とるわけですが、出産間際までフリーランスで働いていた彼女は、仕事を再開できない焦りから、育児ノイローゼ気味です。

 こうした現状は恐らく、私たち夫婦に限らないように思います。それは、我が家の両隣のご家庭が深夜にあたりまえのように洗濯機を回していることからも想像できます。私たちと同じように小さい子供を抱えたお隣さんたちも、子供が寝静まってから食事の後片付けをしたり、明日のお弁当づくりを始めるのかもしれません。

 さて、こうした日常を通して、私が思うのは、介護保険制度の見直しに関連して議論されている「要支援者の増加」についてです。

 介護保険制度の見直し議論においては、「介護サービス」と「家庭支援サービス」を明確に区別した上で、介護保険は前者に特化すべきだという提案があります。この延長線上に、いわゆる「介護予防」「痴呆予防」という概念も成立するはずです。しかし本誌で「『おぼけさま』とともに生きられるまちづくり」を連載されている西村美智代さんもご指摘されているとおり「人は予防のために生きるにあらず」でもあります。

 介護予防サービスも必要でしょうが、幅広い意味での生活支援サービスがさらに求められていると考えます。

 そして、こうした生活支援サービスとは私の従兄弟のケースのように元気な高齢者だけでなく、私たちのような子育て家庭へもマーケットを拡大できるはずです。つまりシニアビジネスとは、高齢者向けビジネスに限定されるものではなく、まだ見ぬユニバーサル社会の実現をめざす「上級な」ビジネスの可能性も根ざしているとも考えられます。

 その意味で月刊シニアビジネスマーケット11月号は、来年度、介護保険制度の見直しが完了する前に、あえて2015年(団塊世代がすべて65歳以上となる)の住宅マーケットを描きました。恐らく2015年には、「介護サービス付き住宅(有料老人ホーム)」は、「生活支援サービス付き住宅」にマーケットを拡大させているのではないでしょうか。

 なお、本日付で「月刊シニアビジネスマーケットブログ」を開設しました。こちらもご愛好のほど、どうかよろしくお願いします。
(玉置泰史/月刊シニアビジネスマーケット
【参考URL】
月刊シニアビジネスマーケットブログ
http://blog.livedoor.jp/sbm1/
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