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【2004.09.24】

開催まで半年を切った愛知万博

 2005年3月25日から約半年間にわたって開催される「愛知万博」(愛・地球博)。開幕まで、いよいよ半年を切りました。この博覧会ではここに至るまでにさまざまな紆余曲折があったのは広く知られるところでしょう。自然保護団体などの異議申し立てによる会場建設地の変更、協会トップの辞任騒動、財政上の問題など、そのプロセスは21世紀における「万国博覧会」そのものが内包する諸課題を反映するかのような印象があります。

 19世紀半ばに発祥した万国博覧会は、以降、科学・産業などの分野でそのときどきの最先端の技術を広く知らしめるものとして、またオリンピックなどと同様に国威発揚の場として、役割を果たしてきました。わが国でも1970年の大阪万博は、高度経済成長の真っ只中で開催され、当時の日本経済の成果と豊かさを内外に示す国家的イベントとして、万博史上最高の6,422万人が来場するなど大成功をみました。

 個人的にも、この大阪万博当時、中学1年生であった私は夏休みを利用して、友人達とはじめて新幹線に乗って大阪まで繰り出し、広大な会場に建ち並ぶキテレツな格好のパビリオン群に胸をわくわくさせたものです。また出展諸外国の人々(当時の言葉ではガイジンさん)との出会いも当時は珍しく、美人コンパニオンさんを中心にだれかれかまわずサインをねだった思い出も。その展示の中身やテーマをどこまで理解したかはともかく、バンパクが強烈に楽しい印象を残したことは事実です。

 その点、今回、35年振りに日本で開かれる愛知万博では、「自然の叡智」をテーマに、自然環境との共生を大きなテーマとして掲げています。会場についても環境への負荷を極力減らし、終了後も大規模開発につなげるのではなく、公園に戻す計画に。成長型社会から成熟・循環型社会に時代が移行するなかで、博覧会に求められる役割も確実に変化しており、それを反映することは必然でしょう。

 それゆえに、一方で「地味な万博」との印象も拭えません。博覧会としてテーマを広く訴求していくうえでは、「楽しさ」「魅力」「賑わい」の創出による集客努力は不可欠です。この両方の要件を同時に満たすことは容易ではなく、先の紆余曲折はそのむずかしさゆえの揺らぎだったと思います。

 今世紀最初の万博としてこの「二律背反」をどうクリアし、博覧会の新たな意味と形をどう打ち出せるのか――こうした視点から、本誌では隔月で愛知万博開催までの動きを多角的に追いかけるシリーズ企画を掲載中です。会場計画をはじめ、展示内容やNPOなど市民参加の運営の中身も明らかになりつつあります。いずれにしても、この博覧会を訪れる21世紀のバンパク少年・少女が何を感じ、何を得るのか、楽しみなところです。

(坂本義朗/月刊レジャー産業資料

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