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【2004.09.17】

レジャー事業者は特殊用途物件に注目せよ

 先日、丸の内オアゾがオープンしました。残念ながら、まだ訪れてはいませんが、同じ丸の内の丸ビルをはじめ、六本木ヒルズや汐留、日本橋コレドなどこのところ首都圏では大規模開発が目白押しです。「東京・首都圏未来地図」(成美堂出版)という本をみると、こうした夢のある開発計画のオンパレード、小学生のころ明るい未来都市のイメージに心躍らせ、またバブル期に、「いけいけどんどん」と(ちょっとだけ)踊ってしまった世代としては、実は新施設、新システムの登場は大歓迎なのです。

 しかし、現実が夢と違うことはバブルが証明しています。利益に釣り合わない開発が破綻を招くことは、多くのゴルフ場やリゾート施設の現状をみれば明らかです。月刊プロパティマネジメントでは、こうしたレジャー施設を特殊用途物件と定義、10月号の特集で多くの負債を抱えて、営業成績がジリ貧になっている施設を流動化(オーナーやオペレータの変更)させることで、資産価値を高める(収益をあげる)事業の取組みをレポートしています。

 巨額の負債がなくなり、しっかりとした経営をすれば、ほとんどの施設が再生できることは、外資の大型リゾート買収のその後をみても明らかです。特に経営意識の欠落した公共セクターの施設は、閑古鳥が鳴くままにしていたのではあまりにももったいない。保養施設の「スパウザ小田原」がヒルトングループのホテル「ヒルトン小田原リゾート&スパ」として蘇ったことは、知られていますが、残念ながらいつもこようにうまくいくとは限らないようです。

 公的資金の無駄遣いの代名詞にもなってしまった年金福祉事業団のグリーンピア。そのひとつ高知県須崎市の「グリーンピア土佐横浪」が今春閉館しました。閉館時に委託され運営していたのはリゾート・コンベンション企画という会社です。社長の深田智之さんは、もとは銀行系のシンクタンクに勤務していましたが、巨費を投じた公共施設がほとんど役に立っていないのはおかしい、と同社を立ち上げました。

 その最初の仕事となったグリーンピア土佐横浪は、ロケーションや設備など条件には恵まれていませんでしたが、運営受託後営業成績は好転、1年足らずで営業利益を出すまでに回復しました。にも関わらず閉館に至ったのは、事業性とは直接関係のない、地元自治体や特殊法人の思惑やしがらみのためです。深田さんは、「閉館することで、雇用や納入業者など地元経済へも悪い影響がでないか」と心配していましたが、一度、つくってしまったものは失敗したからといって単につぶせばいいということにはなりません。

 ゴルフ場やリゾートなどの特殊用途物件の資産価値を見極め、それを再生できるオペレータは優れたアセットマネジャーであり、プロパティマネジャーです。レジャー事業者もこうした視点で、運営に取り組んでみてはいかがでしょうか。優れたプロパティマネジャーでもある深田さんは、現在、次の受託先を探し充電中とのこと。今後の活躍を楽しみにしています。

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