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【2004.08.27】

ものづくりという“本能”

 このところ、「ものづくり」という言葉を以前よりもよく耳にすることが多いようです(自分が過敏になっているだけかもしれませんが)。単純といえば単純な言葉なのですが、そこには人間だけがもつ創造(想像)力、伝統的に培われてきた技、情念の込められた精神的な深みといった独特な意味合いが込められています。もともと日本人はものづくり長けた民族で、戦後、“技術大国日本”を自負し経済大国へと駆け上がった根幹も、やはりものづくりにあったというべきです。

 一時期、ものを大量に溢れ返らせることが豊かさと思われていたときもあるようですが、ここにきて、「本物志向」とか「こだわり」といったことが強く意識されているように、ものづくりの何たるかという本質に目が向けられるようになったと思われるのです。それはバブル崩壊後、失いかけていた自信を取り戻しつつある日本の姿のようにも映ります。

「エンターテインメントビジネス」で連載している國本桂史氏の「想像する創造」も、デザインという視点から、改めてものづくりの本質を問い掛けるものです。

 しかし、ものづくりへの思いは、何も日本人だけに限ったことではなく、人間に共通するある種の本能のようなものかもしれません。ものをつくる――この単純にして明快な行為は、きわめて魅力的であります。

 子どもの頃に遊んだ記憶のある人も多いと思いますが、ブロック型のピースを組み合わせて、自由な発想で自分なりに自動車や家などさまざまなものをつくれる「レゴ」というデンマークの玩具があります。今ではその種類も増え8,000種を超えるピースと100色以上のカラーが揃っているそうですが、基本はあくまでも、あのブロック型の素朴なピースにあることは変わっていないそうです。

 知育玩具と認識されている方も多いでしょうが、一方で、創造(想像)力を駆使してアートと呼べるような作品を作れることもレゴの大きな魅力です。しかも、美術大学に籍を置くような人が必ずしも良い作品を作れるとは限らないらしい、というところもチャレンジ精神を掻き立てるようで、レゴビルダーになりたいという人も増えているといいます。

 日本では、レゴ ジャパン(株)が販売やマーケティングなどの活動を展開しており、マーケット拡大の一環として、白樺湖ファミリーランドでの「レゴ王国」、那須ハイランドパークでの「レゴミュージアム」といったレジャーランドとのコラボレーションをはじめ、百貨店での催事企画などなど、さまざまなイベントを行なっています。

 いずれも利用者からは好評で、集客力も非常に高いのですが、同時に滞留時間も長いというのが特徴になっています。子供も親も、いったん作りはじめるとついつい夢中になってしまうからです。時間を忘れて没頭してしまう。そこには、ものを作るということの楽しさの原点があるといっていいでしょう。複雑な仕掛けと凝った演出が生み出す楽しさというのも、もちろんありますが、非常にシンプルだけれども奥が深いというレゴのもつ楽しさに魅せられる人が増えているのも、人間の持っている"ものづくり"への"本能"を刺激するからであるように思えるのです。

 レゴ ジャパン(株)の展開するマーケット戦略については、次号の「エンターテインメントビジネス」(9月末発刊、第6号)で取り上げます。


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