綜合ユニコム|編集長だより [ホームへ戻る]




【2004.08.06】

「人情味」を新たな付加価値とする
商店街テーマパークのゆくえ

 この夏オープンしたレジャー施設のなかで、注目施設を一つ挙げろ、といわれれば、大阪・ミナミに誕生した「道頓堀極楽商店街」を挙げたいと思います。複合エンターテインメントビル「サミー戎プラザ」の上層階3フロア、約3,000m2にわたって大正から昭和初期の大阪の街並みを再現。そこにタコヤキ、ウドンなど大阪らしさにこだわった飲食店を中心に物販、サービスなど約50店舗を展開した“商店街テーマパーク”です。

 そもそも同ビルは大阪を代表する繁華街・ミナミの戎橋そばにあったかつての芝居小屋「浪花座」の跡地に開発されたもの。周辺は、「かに道楽」「くいだおれ」などをはじめ、多数の飲食施設やレジャー施設がひしめきあうエリアです。そのなかでも、巨大なえびす様の顔をファサード全面に掲げ、存在感を主張する同ビルですが、ゲームセンター、カラオケ、トレーニングジムなどで構成される地上8階建てビルの上層階にまで客を吸い上げる、いわば集客装置として発案されたのが、この商店街テーマパークなわけです。

 その空間はフードテーマパークの先駆け「新横浜ラーメン博物館」を手がけたデザイナーが担当したこともあり、細部に至るまでマニアックともいえるほどのこだわりで街並みが演出されており、どっぷりとタイムスリップが味わえます。

 しかし、同施設の特徴といえるのはこうした「空間演出」や「味」だけでなく、大阪ならではの「人情味」を売り物と位置づけた点。事業者側では、各店舗で働く店主やスタッフなど、「人」が提供するサービスこそ、顧客満足を生む要素として重視したといいます。

 たしかにレトロな環境再現型のフードテーマパークは、「ラー博」以降、各地にその数をふやし続けています。こうしたなかで、空間の楽しさ、味の美味しさはもはや当たり前で、次なる価値の創出が求められてきています。そこで、"こてこての大阪"を売り物にする同施設が、いまや希薄になった商売における「人情」=「人と人のつながり」の復権を目指そうというのはある種必然といえるのかもしれません。うまくいけば、施設の陳腐化の抑制にも効果が期待できます。

 ただし、こうした人と人のコミュニケーションによる魅力の創出は、マニュアルなどで容易に実現できるものではありません。同施設でも現状ではその意図が目にみえる形で表われてはいないというのが率直な印象です。とはいえサービス業の原点ともいえる「人」を明確に「商品」と捉える同施設には、時間を要してでもその実現に向けてチャレンジしていってもらいたいところです。

(坂本義朗/月刊レジャー産業資料

【参考URL】
オープン情報:サミー戎プラザ「道頓堀極楽商店街」
http://www.sogo-unicom.co.jp/data/open/20040702/index.html
■編集長だより
月刊レジャー産業資料
月刊プロパティマネジメント
月刊シニアビジネスマーケット
月刊フューネラルビジネス

季刊E+ビジネス
季刊レジャーホテル
季刊カラオケビジネス
アクアウエルネス

Copyright 2004 SOGO UNICOM Co.,ltd. All rights reserved.


[ホームへ戻る] お問合せ:03-3563-0025 E-mail:info@sogo-uni.com