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【2004.06.04】

シナリオで異なる不動産の価値

 最近、一般紙誌でも不動産投資に関わる記事が多くなりました。「J-REIT市場1兆6,000億円」とか、「不動産ファンドに流れる巨額なマネー」といった見出しを目にする機会もふえました。銀行預金は大口長期でも0.1%程度なのですからREITでも3〜5%、ファンドによっては2桁以上の利回りが期待できる不動産投資に投資家の視線が集まるのもむべなるかな、ということです。

 ところで、不動産投資において利回りをみる場合に、最も大きな問題になるのが投資期間が終わった時点でその不動産がいくらで売れるかという、いわゆる出口戦略です。つまり、1,000万円の収益がある不動産に1億円を投資した場合、5年後に同じ1億円で売れれば5年間の利回りは10%ですが、もし8,000万円になったら利回りは6.5%、7,000万円なら4.5%に減ってしまうわけです。

 この出口戦略を想定する場合には、通常、不動産が老朽化して価値が下がるということから投資額(不動産の購入価格)より低い価格で評価する想定が多いのですが、単純な売却を前提としないで不動産評価を行なっている例もあります。たとえば、既存の建物が容積率を十分に使っていない場合、この建物が好立地にあり、また残りの償却期間も少なくなっているなら、むしろ大きなビルに建て替えたほうがずっと高い利益が得られることになります。

 あるいはSCなど運営企業によって収益力に違いがある場合、単純売却を想定するよりも有力な運営企業と長期の契約を結び建物の償却期間が終わるまでの長期間の投資期間を想定することで、売却価格を低く想定しても十分な利益が得られるという考え方もあります。

 こうした想定で不動産評価を行なっている例は、長期間の保有を前提とするJ-REITの、商業施設の評価でみかけたもので、投資期間の決まっているファンドなどではむずかしいかもしれません。しかしながら、このようにさまざまなシナリオを描き、どうしたら不動産の価値が最も高くなるのか、と考えることは不動産投資に不可欠な視点です。最も価値の高くなる出口戦略をとるためにテナントとの定期借家契約を設定する、追加投資の内容・時期を判断する、といった運営戦略を立てることもプロパティマネジメントの重要な要素です。

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