TOPICS

「おこもり需要」の掘り起こし
アミューズメント強化でファミリー狙う


 新型コロナウイルス感染症により大きな打撃を宿泊市場において「おこもり需要」が注目を集めている。
 
 宿泊施設は旅行先での滞在場所としての役割が大きかったが、「ホテルで過ごすこと」を目的とするのがおこもり需要だ。
 
 ホテルで過ごす非日常体験によるリフレッシュや、ヘルシーな食事・エステ・スパメニューなどを提供するデトックスプランなど、さまざまな方向性があるが、アミューズメントを充実させる施設もふえている。
 
 宿泊施設のアミューズメントといえば屋内プールや卓球、カラオケ、小規模なゲームコーナー、ボードゲームを連想する人が多いだろう。これらの設備で宿泊者が滞在期間中、飽きずに過ごせるだろうか。現在のおこもり需要を狙ったプランには子ども連れのファミリーを対象にしたものは少なく、子連れを狙うにはアミューズメントの強化は不可欠だろう。またプランによってはアミューズメント施設の利用を宿泊料と別料金とすれば、新たな収入源にもなる。
 
 本稿ではアミューズメント機能を強化している施設を紹介する。
 
 

①ネスタリゾート神戸
 
 兵庫県三木市にある「ネスタリゾート神戸」は、約230万㎡ある広大な敷地をいかし約40種類のアクティビティを有している。新たなコンテンツの導入にも積極的だ。
 
 既存の屋外エリアの拡張プロジェクトを進め、2020年7月には4つの屋外アクティビティを新たに導入し「アドベンチャー・キャニオン」をオープンしている。新導入された注目のアクティビティが「スカイ・イーグル」と「スピード・ホーク」だ。スカイ・イーグルはジップラインアクティビティだが、うつ伏せで滑空できる珍しいタイプ。スピード・ホークはレールタイプ・ジップラインで、高低差32m、長さ415mのコースを疾走するアクティビティとなっている(21217日時点ではスピード・ホークの運営を一時中止している)。
 
 屋内アクティビティも充実させている。18年3月に体験型スポーツテーマパーク「レジェンドスポーツヒーローズ」をオープン。大型スクリーンとセンサー技術を活用したデジタルアクティビティで、野球やサッカー、アーチェリーなどのスポーツを中心としたコンテンツが楽しめる。
 
 アクティビティ利用は入場料制(一部別料金)、大人3800円、子ども(4歳以上小学生まで)2800円。
 

②星野リゾート リゾナーレ那須
 
 1911月、栃木県那須町にオープンした「星野リゾート リゾナーレ那須」。リゾナーレブランドとしては4施設目となり、地域の生産活動に触れる体験を軸に、リゾートホテルでの食事やさまざまなアクティビティを楽しむ「アグリツーリズモリゾート」をコンセプトに掲げている。
 
 施設内には農園「アグリガーデン」やアクティビティ施設「POKO POKO」など、滞在者が楽しめる施設を設けている。
 
 POKO POKOBooksCafeや、高さ約6.5mのネット遊具とボールプールのある「プレイエリア」、託児施設「ナーサリー」を設けた全天候型施設となっている。
 
 アミューズメントとは少しずれるが、農業体験アクティビティも提供している。アグリガーデンにて、その日の農作業をスタッフがレクチャーする「ファーマーズレッスン」や、ガーデン内にあるグリーンハウスではワークショップや「オリジナルハーブティづくり」などを開催している。
 

③ヴィラージュ伊豆高原
 
 静岡県伊東市にあるリゾートホテル「ヴィラージュ伊豆高原」は19年7月13日にリニューアル、「親子三世代旅行」で楽しめるよう家族向けのコンテンツを導入した。
 
 ホテル業界初の導入となったのが次世代型体感型アトラクション「サイバースタジアム」だ。センサー技術とプロジェクションマッピング技術を活用したデジタルアトラクションで、ホッケーゲームの「サイバーホッケー」や、ブロック崩しの「サイバーブロック」、迫ってくる音符を踏んでいく「サイバーリズム」、クイズ形式の対戦型教育ゲーム「サイバーモンジャ」など4種のコンテンツが導入されている。
 
 サイバースタジアムの導入にあたり、小規模ミーティングや卓球場として使用されていたカルチャールームを転用している。
 
 利用料金は15分1500円。
 

④ロッテアライリゾート
 韓国の㈱ホテルロッテの子会社ホテルアンドリゾート上越妙高が171216日にオープンした「ロッテアライリゾート」。全11コースのスキー場を有するだけでなく、スキー場をベースとしたジップラインやチュービングなどアクティビティパークを設置しているほか、オールシーズン楽しめるよう屋内施設も充実させている。
 
 屋内アクティビティにはボルダリングやトランポリンなど4つのコンテンツを導入。ボルダリングのウォールの高さは4.5m、ルート数89と本格仕様だ。通常のボルダリングだけでなく、プロジェクションマッピングとクライミングを融合させたデジタルアクティビティ「ワンダーウォール」も常設している。利用料金は大人2000円、子ども(4歳~小学生まで)1000円。
 
 またグリーンシーズンのアクティビティとして「ツリーアドベンチャー」を18年4月に新設している。樹上2~10mの高さに設置されたコースをハーネスを付けて渡るアクティビティで、初心者向けから高難易度のコース計8種類を設けている。利用料金は1コース大人2000円、子ども(4歳~小学生まで)1000円。身長100cm/体重100kg以下の利用制限を設けている。